みなさんは作文を書くことが好きですか?
2015年の小学館集英社の調査によると、小学生で作文が好きな子どもはたった21%だそうです。
そんな子どもたちの作文への拒否感を少しでも取りのぞいてあげたい、そんな気持ちで開催した百千鳥の新企画「のぶし先生の作文講座」が、2月24日(日)にありました。
講師は、「こども記者〜柳橋連合市場へ行く〜」でもおなじみの、まつしまのぶし先生です。
「こども記者」では、取材してきたことをどのように「わかりやすく文章にまとめるか」を教えてくれましたが、今回の作文講座では「楽しく文章で表現すること」を教えてくれます。
この講座のお約束です。
1.自分の好きなことを、思ったように表現すること
2.他の人が書いたものを笑ったり、からかったりしないこと
3.いっぱい文字数を書くことが大事ではありません
初めて会う人もいたので、最初に自己紹介をしました。
好きな(嫌いな)教科や食べ物や、この日の意気ごみをお話してもらいました。
実は、スタッフがその自己紹介を録音していました。
録音された自分の自己紹介を聞きながら原稿用紙に書き写してみると…なんと200文字くらい(原稿用紙の半分)しゃべっていました!
「書く」ことが苦手な人でも、「話す」ことはそんなに苦手ではないことも多いです。
普段話すように書いたり、書きたいことをまとめることで、書くことへの抵抗感が少し薄れる感じがしました。
次のワークはオノマトペ(擬音)でした。
絵を見ながら、その絵を上手に表現できるオノマトペを入れてみます。
雨が…ぽつぽつ…ふってきた
…しとしと? …ザーザー? …ぴちょんぴちょん?
表現を変えることで、雨の様子も変わってきます。言葉って面白いですね。
続いて、比ゆと擬人法のワークをしました。
これはちょっと難しかったです。
アリが行列している様子を何か別のことばで表現してみますが…うーん、なかなかぴったり当てはまる比ゆが出てきません。
『黒い糸のように歩いている』?
わかってもらえるかな?
ボールがころがる様子を、ボールを人として表現してみますが…
うーん、『でんぐり返ししている』…これならなんか伝わるような気がする!
もちろん正解、不正解の表現があるわけではありません。
「相手にこう表現したら伝わるかもしれない」――こう思いながら言葉を選ぶことがとても大事なのです。
いろんな表現方法を習った後は、4コマまんが作文のワークをしました。
※このワークは村野聡先生の著書を参考にしています。
簡単な4コマまんがをみながら、そのお話を、さっきならったオノマトペや比ゆを使いながら表現していきます。
まんがを使うことで楽しくできますし、「起承転結」のある4コマまんがを使うことで自然にお話の展開のさせ方も頭にはいることにもなります。
最初はどうしようか悩んでいた子どもたちも、
「このコマはこういうことだよね」
「ここはこういうふうな書き方にしてみる?」
「オチはどうしようか」
などスタッフと話しながら書く内容を決めていくと、
じょじょに鉛筆が動くようになりました。
そうしてできあがったものは力作ぞろい。
最初に作文が苦手といっていた子どもたちとは思えないくらい、生き生きとした表現で、読ませてもらったスタッフから驚きの声もあがりました。
最後に自分でテーマを決めて、自由に作文していきました。
子どもたちはこの講座中にかなりの文字数を書いており、疲れてもう書きたくないかなと実は心配していました。
しかしみんなそんな様子は見せずに真剣に、そして楽しそうに最後まで作文をしてくれていました。
これこそがこの講座で最も伝えたかったことです。
よくわからないまま「やらされる作文」だと子どもたちは苦手なままです。
でも、書き方が分かってきたり、自分が好きなように表現できたという体験があると、書くことが少しずつ楽しくなっていきます。
楽しくなってくると、自分から書きたくなっていきます。
百千鳥ではこれからも、言葉で表現する楽しさを伝えて、そして日本語の豊かさも知っていってもらいたいと思っています。
参考にした本
・村野聡「子どもが一瞬で書きだす!4コマまんが作文マジック」学芸みらい社
・村野聡「二百字限定作文で作文技術のトレーニング」明治図書出版
・ながたみかこ「文体・表現のコツ」汐文社
最後に参加した子どもと保護者の感想です。
【保護者の感想】
・類語オノマトペ、普段聞き流している言葉を振りかえることができました。
・少人数でゆっくり話してもらえ、本人のペースで取り組めたので良かったです。
・楽しそうにしていました。表現する力が私の思った以上にあって驚きました。
【子どもの感想】
・作文が前までは苦手だったけど、今日で作文が書けるようになって良かったです。
・楽しかった。