
2021年2月7日(日)に「職人さんに習う和菓子づくり」をオンラインで開催しました。
プロの和菓子職人さんから指導を受けながら和菓子づくりを体験できるこのワークショップは、リピーターも多い百千鳥の大人気イベント。
新型コロナウィルスが流行してからずっと開催を見合わせており、2019年10月以来じつに1年4ヶ月ぶりの開催となりました。
初のオンライン開催にもかかわらず、南は沖縄から北は石川県までのお申し込みをいただき、30名の定員があっというまに埋まってしまい驚きました。
講師は福岡市の老舗和菓子舗「鮹松月(たこしょうげつ)」の四代目、松尾和明(まつおかずあき)さんです。
初のオンライン講座ということで講師の松尾さんと何度も打ち合わせやリハーサルを重ね、今回は皆さんのお手元に和菓子の材料や道具をお届けし、オンラインミーティングルームzoomを通して指導する形で開催しました。

こちらの細工道具、実は松尾さんが参加者のみなさんのためにひとつひとつ木材から加工して作ってくださったものです。
つくる和菓子は早春を彩る花「水仙」と「椿」の2つ。

緊急事態宣言下で外出が難しいなか、春の息吹を感じてほしいという職人さんの願いが込められています。
まずは職人さんが「水仙」の作り方を実演します。
こなし生地で餡を包む「包餡(ほうあん)」という作業から。

ここで均等に生地をのばしてきれいに餡を包めているかどうかでこのあとの細工のしやすさも変わってくるので、初心者の方でも包みやすいコツなどお伝えしながら丁寧に説明していきます。
簡単そうに見えてなかなか難しい作業なのでオンラインでお伝えできるか心配していましたが、スタッフの心配をよそに皆さんとても上手に包まれていました。
画面越しに職人さんの手元が常にアップで見られるので、逆にわかりやすかったようです。
その後、お手製の三角棒や丸棒を使い、花弁を作っていきます。

続いて「椿」の制作に入ります。
ここでは、紅白二色のこなし生地をあわてぼかすグラデーションの工程が肝です。
自分の作ったものを職人さんに見てもらいながら、よりよくするためのアドバイスをもらいます。

その後、花弁になる部分を伸ばして、三角棒と丸棒で細工していきます。

最後に丸棒でしべを押すと急にお花が立ち現れてきて、小さな歓声が上がります。

お気に入りの器にのせると、また一際ひきたちます。

こちらは高取焼の味楽窯(みらくがま)さんの作品。水仙と椿がきりっとひきたちました。
参加者のみなさまからいただいたご感想を一部ご紹介します
「久しぶりの和菓子教室でしたので、とても楽しみにしていました。内容も分かりやすく、子供たちも楽しく取り組んでいました。和菓子を通して、季節を感じることができました。遠くは沖縄や石川県からも参加されていると聞いて、これからも対象が広がって百千鳥さんの活動が広がるといいなと思いました。」
「上生菓子を見るのも食べるのも大好きで、自分でも作れるようになりたいと思っていたところ、この講座を見つけて参加しました。今日はなんとなくの形を作るのに精一杯で、お手本のような滑らかさやふくよかさ、美しい曲線美を表現することはなかなかできなかったです。あらためて職人の技の素晴らしさに触れることができました。先程自分の作った和菓子を食べてみたら、美味しくて、私好みの甘さでした!レシピをつけてくださっていたので、今度はこなしやあんを作るところからチャレンジしてみようと思います。楽しい時間をありがとうございました!」
「和菓子づくりは初めてでしたが、楽しく参加できました。申し込み、配達、ZOOMの配信と問題なくすすめられました。ありがとうございました。」
「とっても楽しかったです。いつか自分でも作ってみたいとは思っていたものの、和菓子はハードルが高くてなかなか手を出せずにいました。ふだんやっている洋菓子作りよりも無我夢中になれて、本当に楽しかったです。また、自分で作ることでより和菓子への愛が深まりました。こういう形で巡る季節を楽しむこともできるんだなぁ…と思いました。良い休日になりました。ありがとうございました。」
お子さまの様子
11才「真剣に、丁寧に取り組んでいました。上手にできると、達成感があったとのこと」
9才「作業が少々雑で、3個目をオリジナルのものにして、そちらを一所懸命に作っていました(^^;;楽しかったそうです」

この和菓子づくり講座は、職人さんとの交流を通して和菓子の面白さや職人の技、四季を楽しむ心をお伝えすることを目的としています。
今回皆さまにつくっていただいた和菓子は上生菓子(じょうなまがし)といって、茶道でのおもてなしにも使われる本格的な和菓子です。
このステイホームの時代、大きなお茶会やお祝い事にお菓子をお届けする機会も減ってしまい、和菓子屋さんにとっては厳しい時期となっています。
私たちの身の回りでもすでに閉店されたお店もあり、いつか行こうと思っていたあのお店が来年もあるとは限らないことを実感しています。
本講座で和菓子に興味を持っていただけましたら、お近くの和菓子屋さんをちょっとのぞいてみたり、気になっている和菓子屋さんからお取り寄せをしてみたり、できる範囲で応援してもらえたら幸いです。
日本の文化を暮らしの中で楽しんでくださるみなさんこそが、文化の支え手です。